アメリカ大学の教職員パソコン環境

2021年秋、米プリンストン大学の眞鍋淑郎教授がノーベル物理学賞を受賞して日本のメディアでも話題となったけれど、日本出身の眞鍋教授が米国籍を取りアメリカでの研究を選んだ理由の一部として「こっち(アメリカ)の大学では自分の欲しいコーンピューターを買ってもらえる」などと語っていたのを私は「そう、それなんだよな」と、教授と全く規模やレベルは違うながらもいたく共感した。

アメリカでは、個人のパフォーマンスを最大限発揮させるために可能な限りの環境整備をする、という考えが至る所で浸透している。私が最初アメリカの大学で職員として採用された際、初日に上司から「あなたはMacユーザーだと言ってたわよね。じゃあMacbookをIT部に用意させるわね」としれっと言われた時の衝撃は未だに忘れない。確かに面接時、「公私共にMacを主に使っていたのでMac PCには慣れている」と言及したけれど、まさかパソコンを選ばせてくれるとは。

勤務当初は、中古のMacbook(16 inch) が充てがわれてそれを1年半ほど使っていた。パフォーマンスには全く問題を感じていなかったけれど、21年秋になってからIT部門から 「あなたの使っているPCがアップグレードの対象に入るので、今使っているPCのシリアルナンバーを教えて」との連絡が。新しいMacbookになるの?とワクワクしながら尋ねると、そうだと言う。しかもMacbook Pro M1チップ搭載モデルだというから、テンションもバカ上がりだ(私の個人所有Macbookはその前世代のものだから)。しかもやり取りを進めるうえで、「スペースグレイが良いかシルバーが良いか」と尋ねてきて、なんと色まで選ばせてくれると!私は個人ではシルバーのProを使っているので、シルバーグレイを注文した。

新しいPCが来たということでIT部から連絡が入り、新たなMacbook入れておいてほしいソフトやアプリなどがないか訊かれた。私はMicrosoft Office全般と、Adobe Creative Cloud、それから業務上必要な幾つかのデータベースソフトウェアがあると伝えた。それらの PC上でのインストールや古い PCからのデータ移行を全てやってくれるうえに、新たなPCのデスク上でのセットアップ(ドッキングステーション、追加の外付けモニター、プリンタとの接続等)もやってくれると言うから本当に至れり尽くせりだ。

左が個人所有のMacbook Pro,右が大学支給のMacbook Pro

オフィスでのセットアップはIT部のスタッフが30分程度でやってくれた。どうでも良いけれどIT部は比較的自由な感じの格好をした人が多く、なんとなくGoogleやApple的な雰囲気を感じる。今回セットアップしてくれた男性も、長髪に無精髭でデニムパンツ。しかし仕事は丁寧で説明も分かりやすく、とてもプロフェッショナルだ。また別の要件でサポートに来てくれたITスタッフは、以前Appleに勤めていたと言っていた。教授陣にはMacユーザーも多いので、そういう経験のある人は大学のIT部門でも重宝されるのだろう。

このIT環境の良さがアメリカ全てに当てはまる事はないだろうけれど、少なくとも日本の大学と比べると非常に教職員に対する自由度が高く、それが教職員のモチベーションを大きく左右するのは確かだと思う。それゆえ、「アメリカの大学では自分の欲しいコーンピューターを買ってもらえる」という眞鍋教授の一言は日本出身・ヒラ大学職員の私にもすごく身に染みた。

コメントを残す