前回2回の記事に渡ってNY地下鉄のひどさについて書きましたが、これだけだと何だかあまりに救いがない感じがするので一つだけ良いところも取り上げたいと思います。
NY地下鉄には日本のような駅・車内での殺伐とした雰囲気がない。
これだけです。そのうえコレは別にMTAの地下鉄システムが優れている所でも何でもないのですが、それでもこの利点はかなり大きいと思います。というのも、この一つがあるだけで、私自身は便利で清潔な都内電車・地下鉄よりも汚らしいNY地下鉄の方が安心して利用できています。
地下鉄だけでなくそもそもの国民性(あるいは地域性?)の問題だと思いますが、NYでは基本的に誰が何をしようと気にしません。要はテロや暴力等の犯罪さえなければ別に歌おうが踊ろうがそこで腹筋を始めようが、誰が何しようとどうでも良いことです。それでいて、車内では子供連れやお年寄りが乗車した際には皆率先して席を譲ります。またベビーカーの赤ちゃん連れの人には必ず誰かが階段の上り下りを手伝ってあげます。それは日本でしきりに叫ばれる「マナー」といった大げさなものではなく、皆「そんなのは当然の事」として日々やっています。
私自身は、こうしたニューヨーカーの「他人への無関心」と「他人への手助け」のバランス感覚がすごく心地よくて好きです。
日本はこの逆で、お互いをやたら監視している割には助けが必要な人を助けないという印象があります。そういう意味で、不効率かつ時代遅れなシステムで汚い地下鉄であっても、乗る人々の人間味が感じられるNYの地下鉄は日本首都圏の地下鉄よりも気持ち的に安心して乗れます。私自身もトラブルで車両が止まった時や急なローカルから特急への変更時などにはよく近くにいる人と情報交換したり話をしたりしました。「まったく、ここで止まる?!」と見ず知らずの人と少し愚痴るだけでも、少しストレスが和らぎます。
以前、ボランティアの職場で「NYの地下鉄ではまず英語だけが聞こえるというのは無いよね。複数の言語が飛び交っている」という話をした時、同僚のアフリカ系男性が楽しそうに “Yeah, that’s the beauty of NY.”と言っていたのを思い出します。
地下鉄にも色んな人々がいること。それこそがNY地下鉄の醍醐味です。